ほめどころ

がうがう

映画ベイマックス見た


SUPER
NERD
MOVIE

日本国内向けの宣伝と他国の宣伝方法が全然違うと話題のベイマックス見てきた。日本向けの宣伝は心温まるハートフルストーリーっぽいけど、実際はオタクが科学力を駆使して悪い人を懲らしめる話だった。感動の要素もあるけど、そこがメインというわけではなくて海外製映画によくあるオチの一つとしての感動のシーンって程度だった。過去の実績から日本向けは感動作として広報したほうが売り上げ伸びそうだししょうがないのかなと思った。


ベイマックス - nyoron0128's blog


字幕版で見たんだけど、登場人物がオタクばかりだから英単語もそれっぽいものばかりだった。洋物のネットゲームのチャットで外国人と喧嘩して鍛えたナードイングリッシュが役に立って良かった。
英語圏で身内が死んだ事をhe's goneってちょっと濁していう文化があることを知れた。日本語で言う「彼はお星さまになった」とかそういうやつかな。使うタイミングによっては「彼は頭がイカれちゃった」みたいな意味になるしなかなか難しい。


あと、劇中でNerdって単語を誰が誰に対して使うにも、そのまま"オタク"って訳すのはちょっと芸がないなと思った。Nerdはオタクが別ジャンルのオタクを貶すニュアンスが強いんだからもうちょっといい訳がなかったかなと思う。劇中で言えばロボットオタクのヒロが、兄タダシの友人たちの化学オタクをバカにする感じ。逆に同ジャンルのオタクに対して言うnerdは親しみを込めたニュアンスになっちゃう。黒人が黒人の友達に対してニガーって呼ぶようなノリでね。


序盤は、劇場内でところどころ笑い声が上がるようなベイマックスのかわいらしさを前面に出した展開で、中盤は話が大きく動き出してアクションシーンもあり盛り上がって、終盤しっかりオチと感動のシーンを入れてくるあたり、起承転結がしっかりしててわかりやすくておもしろかった。さすがディズニー&ピクサー&マーベル。


日本が舞台らしいサンフランソーキョー。建物の屋根の軒反りがキツくて中国っぽい感じだけど、他の洋画に出てくる日本よりかは日本らしかった。街中に丸出しの電柱と電線は、地震大国日本独特でそれが劇中でもしっかり書き込まれてて日本らしさは出てた。あと瓦屋根とビルとえげつない色の看板が統一感無しに混ざり合って存在してるのも日本の繁華街っぽくて良かった。看板に書かれてる文字は日本語だったけど案の定意味を成さない並びだった。日本が舞台なのに登場人物の人種が混合なのはやっぱりハリウッド作品だから仕方ないのかも。


ベイマックス本編が始まる前に流れたディズニーの短編「愛犬とごちそう」なかなか良かった。めっちゃご飯食べる犬とおっさんの話、短い話のなかにも起承転結があり5分ほどだったけどおもしろかった。101匹わんちゃんのオマージュシーンもあった。犬に人間のジャンクフードあげてるシーンあったけどこの辺ちょっと問題になりそう。フィクションとして適当に流せばいいのに。あと、見た目が完全にイギーじゃん!やれやれだぜ・・・


『ベイマックス』同時上映短編「愛犬とごちそう」本編クリップ - YouTube


ここからネタバレあり


終盤のシーンでマイクロボットで転送ゲートを持ち上げるときの橋脚が、美しいトラス構造をしっかり作っててさすが物理学の教授が操ってるなと思った。ヒロが最初にマイクロボットをプレゼンするときも、少ないノードで高い耐久性能を維持できるグラフェンみたいな六角形を作ってて天才少年的な演出がされてた。こういう細かいところに演出いれてくるピクサーさんはさすがやで、そしてそういう、わかる人にしかわからない所に気付かせて、そこに気付いた観客を自分に酔わせ気持ちよくさせるところまで含めてうまいなあと思う。そう、わたしです。


ヒロが教授の娘を命がけで助ける理由が無い気がする。いくらお助けロボいうてもヒロの命を危険にさらしてまで助けに行くのはとても違和感があった。アメリカは"ヒーロー"が大好きだからそういう演出になってるのかなと思った。そこから感動のお別れシーンへとつながる、よくあるマーベルっぽい脚本になってた。ヒロを救うためロケット射出する時、密かにタダシのチップを右手に持たせた演出はとてもいいね。チップを持たせたとわかるのはベイマックスが時空の狭間に閉じ込められた後なのでその時を思い返せば、ヒロの戦闘用チップなのに、暴走せず「ケアに満足しましたか?」と問いかけ続けたベイマックスは健気でかわいらしいなあ。あと、時空の狭間の描写はなかなか気持ち悪くて良かった。


スタッフロールの後のフレッドと父の話。フレッドの父へのフォーカスの当たりから見て、たぶん実在の誰かに似せてるんだろうなと思ってて、帰って調べたらマーベルの原作者スタン・リーだった!声も本人が当ててたみたい。すごい贅沢な使い方しよるな。あの、ヒーローの待機室みたいな秘密の部屋も、作品間で強く関連性のあるマーベルシリーズによくある演出で、続編やスピンオフを想像させるとてもいい演出だった。あの部屋のアイテムやフレッドと父の会話からして明らかにパンツを履いてるヒーローなんだろうな、そしてそれはちょっと汚いっていう。フレッドの父の孤島に旅行行ってばかりって設定もまあ世を憚る仮の理由なんだろうなと思う。豪邸に秘密の部屋とヒーローといえばバットマン的なものが容易に想像できるしね。


全体を通してしっとりとしていて、それでいてべたつかないスッキリとした甘さに仕上がっていた。


2000点!!!!