トランペットの映画みた
MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間
と
ブルーに生まれついて
こっちはチェットベイカーのお話。
感想とか
マイルスデイヴィスの方を先に見て良かった。チェットベイカーの方にマイルスはキーパーソンとして出てるけどマイルスのほうにチェットは出てない。
MILES AHEADは1975年からの5年間を伝記風に構成されてた。ちょっとしたアクションシーンとか演奏シーンもあり、マイルスデイヴィスに詳しくなくても見やすい内容になっていた。
マイルスデイヴィスの人柄については多くの資料があるけど、どれも同じようなキャラクターで、もちろんこの映画もそのとおりのキャラクターで演じられてた。ここまで、誰から見ても同じようにうつる人柄の人間もなかなかいないのではなかろうか。良く言えば筋の通った生き方だったのだろう。
チェットベイカーの方は、全体的に暗澹とした雰囲気の中、音楽と愛についてのみ表現されてた。
チェットの父親のセリフの日本語訳がなんかおかしかった。キャラクターとしては、口は悪いけど根は良いタイプのおせっかい親父、みたいな感じで、そういう人が言う、愛のある軽口とか皮肉は可愛げがあるけど、訳文のニュアンスが微妙におかしくて、黒人にいいイメージがない軽いレイシストの田舎の頑固親父みたいなニュアンスになってた。
話の流れと、英語音声と訳文を比較してそういう印象を受けたけど、見る人が見れば、父親の人柄をうまく表現した秀逸な訳になってたのかもしれない。こういうところの機微を感じとれるかが、教養とか文化的知識の差なんだろうなと思った。
リチャード・ボックと復帰の話をするシーンで、二人の間にある柱が心の壁のように見えるカメラワークしてたけど、どうにもあからさまでいやらしい印象を受けた。トレイラーにもそのシーン使われてるし、あまりにもダサいのでもうちょっとうまい演出無かったのかなと思った。
あと、植木鉢を盗むシーンは、話の前後の流れにまったく繋がっていなかったので、理解できなかった。編集のミスなのか、それとも、チェットベイカーの因縁に関わる演出だったけど、僕に知識が足りないだけなのか。
どちらの映画も、どちらかといえばドラッグを肯定する内容で、暴力表現、性的な表現も露骨だった。そのなかでも、ドラッグについてはテーマの一つなんだろうなと容易に感じられるほどスポットが当たってた。レーティングはPG12とR15+。映画の中ではクリーンな人間役がちゃんと役を全うしてたし、適切なテーマの扱い方をしてたと思う。当時の社会情勢とか、ジャズミュージシャンとドラッグの不可分な関係とか、知識があればあるほどおもしろい所なんだろうなと思う。
両映画とも傑作でした。
2000 + 2000 = 4000点!